プーチン大統領の大改革 vol.3

Pocket

前回、プーチン大統領が第1期と第2期に行ったことを中心に書いた。

今回は最後に2008年以降、そして3期目となる現在について、世界では2008年以降何が起こったか、プーチンはこれから何をしようとしているかの2点に分けて書いていきたい。


前回の記事

プーチン大統領の大改革 VOL.1

プーチン大統領の大改革 VOL.2


 

世界ではその間に何が起こったか

まず2008年、プーチンは大統領ではなくなった。代わりに大統領になったのはメドベージェフという人物だ。プーチンは首相となり権力を弱めた。

そんな中、メドベージェフ大統領率いるロシアはグルジア戦争へ、アメリカではリーマンショックが起こる。

ロシア・グルジア戦争(2008年)

グルジアとはあまり聞いた事がなかったが、ロシアの下にあり黒海に面している国である。そのグルジアとロシアの間で起こった紛争である。なぜ紛争は起きたか?その原因となったのは、グルジアの中にある「アブハジア自治共和国」と「南オセチア自治州」の独立運動をロシアが肩入れした事にある。

geogiaPhoto(外務省HP) : http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol7/

少々、歴史の話になるが、グルジアは黒海とカスピ海に挟まれた交通の要所として、あらゆる国から侵略されてきた歴史を持つ。近代では、1922年にソ連に加盟。その後、冷戦が終わるとともに独立したという背景がある。

その流れの中で独立しようとしてできなかった地域、つまり国際的には”国”と認められていない地域が「アブハジア自治共和国」と「南オセチア自治州」である。上の画像の紫色の地域だ。国際社会はもちろん、グルジアも独立を認めておらず、「グルジアの自治州」という扱いになっていた。

そういう状況にもかかわらず、その二つの地域とロシアは協定を締結し、併合しようとしていた。グルジアにとっては大変。ってことでグルジアは領土を守る為、独立を目指す「南オセチア自治州」に侵攻したという経緯とのこと。で、もう一つの独立したい地域「アブハジア自治共和国」もグルジアに侵攻してドンパチが始まった。

どこでロシアが出てくるかというと、「南オセチア自治州」にあるロシア軍基地をグルジア軍が空爆をしてからロシアも武力介入することとなる。最終的には、EUの和平案によって停戦を迎えた。

そして、この戦争の結果「アブハジア自治共和国」と「南オセチア自治州」はロシアが国家承認し、グルジアではなくなった。ただ、両地域を国家承認しているのはロシア始め、ニカラグア、ベネズエラなどの5カ国のみとのことで、まだまだ国際社会からは国として認められていないのが現実だとのこと。(国家承認とは何カ国が承認することで認められるんだろう、、)

これだけでもだいぶ長くなってしまった。

ただ、グルジア戦争はそれだけで本1冊出ていたりするし、あらゆる人があらゆることを言っているので時系列が違ったり、もっと歴史的背景を詳細に述べる必要があったりと、端的に語れるものではないと色々と調べていて感じた。

 
サブプライムローン問題とリーマンショック(2007,2008年)

言うまでもなく、2008年に起きた100年に一度ともいわれる経済危機のことですね。

リーマンショックが起こったことで、停戦にはなったもののつい最近まで起こっていたグルジア戦争は忘れ去られた。アメリカを始め、各国はそれどころじゃ無くなった。リーマンショックが起こった結果としてアメリカ経済はボロボロとなり、もはや「アメリカ一極世界」は終わったと言われるようにもなった。つまり、他国がプーチンが目指していた「多極世界」へと移行していった。

その後の世界はというと、中国の台頭にもあるよう「米中の二極化」ともいえる世界になった。

 

プーチンはこれから何をしようとしているか

本書によると、「国民の収入を増やすこと」、「国民の安全を守ること」が最重要課題だと述べている。国のトップたるや、そうあるべきだと言われればそれまでだが、プーチンとて変わりはないのだろう。

前者は経済成長、後者は安全保障。安全保障とは「国内」と「国外」の両方の面があり、国内に対しては新興財閥を潰し、石油関連企業を国営化するなどエネルギーを確保、国外ではアメリカが先に述べた「東欧MD計画」など進めているように目の前に脅威があり、対抗措置を取る必要がある。そのためにプーチンは戦っている。

ではプーチンが具体的にどのように行動していくか本書に考察が書かれているので紹介したい。

ドル体制を更に崩壊させ、ルーブルを基軸通貨にさせていく

アメリカを下支えしているドル体制を壊し、ルーブル始め、それ以外の通貨で決済できるような状態を作ることが重要だと考えている。基軸通貨を巡る争いは、先にはフセイン政権下のイラク、そしてフランスが原油輸出の決済をドルからユーロへの転換に挑戦、そしてプーチンのロシア、イラン、中国などの国々の挑戦である。その流れは今もあり、今年(2016)に入ってから経済制裁が解除されたイランでは原油輸出をユーロ建てで行うと発表されている。

 

中ロ同盟を再強化する

ロシア一国でアメリカと対峙するのはどうも力不足、よって中国と協力する道を選んだプーチンであったが、大統領職を下りることに。

再強化というのは、2008年-2012年の大統領であったメドベージェフが中国ではなくどちらかというとアメリカよりの政治を行っていたためだ。2012年に大統領にプーチンが返り咲き、再び関係を強化していこうという動きだ。

 

BRICs諸国との連携を強める

BRICsはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国のことで、それぞれが世界の中でも影響力を持つ国々だ。この国々でドル体制をやめようという話を進めていたりと協力を強めているとのこと(2009年頃の話)。

ただ、今はブラジルは経済状況がよくなく、ロシアも経済制裁を受けているし原油安の影響で経済成長は著しい、中国はGDP成長率をごまかしているという話さえ聞く。インドだけが今後の人この伸びを見ても有力な国なことは間違いないだろう。

http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/nikkey/article.aspx?id=MMACc3000010112015

 

まとめ

3回にわたる記事では『プーチン 最後の聖戦』をもとに書いてきた。

プーチンが第1期から3期に行ったこと、行っていること、重視していることなど。これらを見るだけでも世界の構図が少しは見えて来る。世界で何が起こっているかというと、「覇権の争奪戦」なんだと。弱肉強食の世界、強いものが歴史を創れる。

今後は国家同士の覇権争いでなく、そこに企業も参入してくる。すでに、欧州ではGoogleに対する罰金などで起こっていたり、Facebookのザッカーバーグは各国首脳と会談したり、中国へ進出を目論んでいたりと企業が国家のような振る舞いをしているのが現状である。

「日本が世界に平和をもたらす」というのはよく聞く話であるが、こういった背景、世界の構図を知ればそうなんじゃないかともさえ思えてくる。世界で唯一原爆を投下された国である事、島国である故の独自の文化や国家を形成してきた事、神道という一神教でない事など、世界を平和へと向かわせるキーポイントとなってくると感じる。

その反面、テレビでは相変わらずどうでもいい(あくまで個人的には)番組を流したり、新聞ニュースでは政治家の汚職や不倫騒動など”ばかり”が流れ、国民はそれについてあーだこーだと言っている。この”ばかり”というのが問題だ。国際情勢や世界で何が起こっているかというニュースに対して、バラエティや芸能ニュース、スキャンダルがあまりにも多すぎなのではと感じる。

イスラエルから帰国後、強く感じたのは東京で感じた違和感、その違和感の正体は何か作られた世界のように感じたことだった。また、延々同じ話題を繰り返すテレビに対する嫌悪感。見なければそれでいいだけの話だが、それでも家の多くにはテレビがあれば自然と見つづけるのだろう。

話が少し逸れたが要はもっと国際情勢、歴史を知るべきだと思うわけで、そのためにもっと注力していきたい。

photo credit: Novosibirsk via photopin (license)

Pocket

最近の投稿

広告

最近の投稿

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA