基礎から学ぶ 「原油」とは何か

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地球の資源はいずれ枯渇するー

 

あたかも常識としてあり、自分自身もそう信じてきた。

だが、本当に資源はなくなるのだろうか。そもそも原油とはなんだろうか。

原油安や原油高による経済への影響は?シェール革命のシェールって?

などなど、他にもたくさんの疑問があるが、こういった原油やエネルギー問題を語る上での基礎知識も持っていないことから、まずは『世界を動かす原油のことが面白いほどわかる本』『石油の終焉』を手に取った。前者は経済への影響を中心に、後者は石油から見えくる世界の動向、とりわけアメリカの政治、エネルギー問題に主眼を置いている。

原油を知りたいと思ったきっかけには、ここ最近、天然ガス、原油などの資源国家であるロシアについて学んだことも影響している。また、タイトルの通り「原油」が世界経済を動かし、我々の日常に”商品価格”や”ガソリン代”など広範囲にその影響を及ぼしていることからも、知っておくべきだろうと思ったのだ。

我々は日々、原油やガソリン、石油、自然エネルギー、代替エネルギーなどのエネルギーに関するワードに多く触れている。エネルギー問題とは、つまるところ「人類の生存」と「環境破壊」の問題である。よく映画などでもある展開ではあるが、このことがどれだけ危機の迫った問題なのかというのは普段生活している中で、あまり考えたり、気づいたりしないのではないだろうか。そこで、原油とは何か、経済への影響など広く浅くまとめたい。

 

エネルギーって

エネルギーとはつまるところ、「何かに何かをさせるもの」である。エネルギー保存の法則によれば、「エネルギーの”移動”」とも言える。全体としてのエネルギー量は決まっていて、そのエネルギーが自然、動物、植物、人間などの間で行き来しているのである。ガソリンで車を動かしたり、電気を使ってパソコンを動かすのも、人が走ったり運動することもすべてエネルギーの移動した結果であると言える。人間が生態系の頂点に立てているのもこのエネルギーを自在に変化させて使うことができるからだ。また、技術の革新はこのエネルギーをいかに有効に効率的に使えるかの進化でもある。

今日では、このエネルギー資源となるものは大きく、「石油」、「石炭」、「天然ガス」の3つである。これらを総じて、化石燃料と呼ぶ。化石燃料とは動植物の死骸が地中で長い年月をかけて変性してできた有機物のことである。ただ、この化石燃料が生成されるメカニズムにおいて、「有機起源説」「無機起源説」という二つの学説が存在している。ここでは詳しく触れないが、両説どちらが正しいのかはアカデミックでも結論に至っていないという。後者はロシアが50年程度前から支持しており、ロシア経済にも絡んでくるのでまた別の機会に触れたい。

原油は下で詳しく述べるとして、石炭は産業革命において特に使用され、発展に大きく貢献した。今では石油や天然ガスに代わられたというイメージがあるが、IEAの2014年のデータでは日本では30%、中国では76%、アメリカでは38%が発電に使われており、まだまだエネルギー源の主流であると言えるだろう。

天然ガス(LNG)とは天然にある化石燃料の一種で、メタンやエタンといった軽い成分を多く含む加熱性のガスである。二酸化炭素の排出量は石油に比べ30%少ないのが特徴でもある。液化天然ガスとは文字どおり、この天然ガスを-162度で冷やして液体化させてものを指す。

これら3つの化石燃料の埋蔵量は石炭が一番高く、石油、天然ガスともに約50年に対して、石炭は113年と倍近い。(BP統計2014より)

 

原油とは

そもそも原油と石油は何が違うのだろうか。

原油とは、油田から採掘されたままの状態で、”精製”されていない石油を指す。大雑把に分けるとすれば、原油は「精製される前の油」で、石油は「精製され後のガソリンなども含む油のこと」だという認識になる。産油国で油田からとれた状態である原油は、そこからパイプラインなどで運び出され、港付近に据えられている原油タンクに貯められ(昔は樽に貯めていたため、樽を意味するバレルという単位が使われるようになった。1バレル=159リットル)、タンカーへ乗せられて他国へと輸送される。

原油を採掘→原油を運ぶ→原油の精製→「ガソリン」、「LPガス(プロパンガス)」、「軽油」などに分かれる→それぞれに適した用途で使用(ガソリン→車の燃料、軽油→トラック etc.)

その精製プロセスが下の図であるが、 原油輸入国に運ばれてきた原油はその後、その国の港付近に配備されている原油タンクに入れられ、精油所へと移され、蒸留装置や分解装置によって、ガソリンや灯油、軽油などの石油製品へと生まれ変わる。メディアなどではこの原油と石油を分けずに使用する場合もあるので、ほとんど同じだと思ってもらってもいいだろう。

 

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photo:https://www.ekka.co.jp/business/airplane.htmlより引用

 

なぜ、同じ原油から様々な石油製品(ガソリンや重油など)が生まれるのか。

それは、沸点が異なるからである。沸点とは一般にはある液体が気体化することを指す。温める熱の温度によって成分は分かれる。ちょうど、水を温めると蒸気になったり、冷やすと氷になるように。

なぜ、その沸点が異なるかというと、分子の密度が異なるからであり、要は中身が詰まっているほど分子の密度が高く沸点も高いといえる。そのため、気体状態であるLPガス(プロパンガス)は35℃以上、ドロっとしたイメージを持つ重油やアスファルトとなると360℃以上の熱でそれぞれ精製される。

こういった精製プロセスを行う装置が50mほどの巨大な円柱状の常圧蒸留装置だ。常圧蒸留装置で「原油」は上記の図にあるように、まず原油加熱炉によって350℃ほどに加熱され、その後、蒸留塔へと運ばれる、そして蒸留によって「灯油」や「軽油」などに分離される。

また、プラスチックは石油から作られていることはほとんどの人が知っていることであるが、日常で意識する人は少ないだろう。では、石油からどのようにしてできるのか。先に述べた精製プロセスの中で分かれた「ナフサ」という石油から作られる。こういったことも日常の中でガソリンや灯油くらいしか触れない石油について理解を深めることは身の回りの物への理解へとつながる。

 

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まとめ

今回は原油の基礎的な話のみをまとめた。

ちなみにアスファルトも原油から出来ていると今回初めて知って、少し驚いた。また、地元にあった工業地帯に佇む変な赤い塔(=フレアスタック)が実は石油精製所のものだったんだと改めて知った。

日常は自分が思ってるよりも石油製品に囲まれているんだな。

 

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