2015年に読んだ本ベスト8

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自分の備忘録として。

2015年に読んだ本ベスト8を記録しておきたい。

 

8位

本書では「売れるものに気がつく能力」、「価値を認識する能力」のことをマーケット感覚と呼び、さらに分解し、「商品やサービスが売買されている現場の、リアルな状況を想像できる能力」、「顧客が、市場で価値を取引する場面を、直感的に思い浮かべる能力」と定義している。マーケットとは市場であり、市場とは価値を交換する場所であり、その価値の交換が行われる規模のことを市場規模と呼ぶというのはわかりやすかった。また、このマーケット感覚をキャリアやサービス、国家などあらゆるものに当てはめて説明している点も非常にわかりやすいものであった。本書のメッセージとしては、”今後、市場化する社会だからマーケットを読む感覚を養うことが大切だよ”というもので、それはつまり市場とは個人が主体であり、その個人が以前よりも主導権を握れるような社会に近づいているということなんだろうなと感じた。

世の中の動きとは、そこに生きている人間の動きの集合体です。それぞれの人が何を求め、どんな気持ちがどんな行動につながるのか想像する力を鍛えないと、社会がどちらの方向に動いているのかもわからないし、マーケット感覚も身につきません。

人間も、今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう

人はどんなときに、どんなモノに、いくらのお金を出すのか。そのお金と交換される価値はどんな価値で、それを欲しがる人のインセンティブシステムはどういう仕組みなのか。

 

7位

メッセージとしては”人間自身とテクノロジーをよく理解することが大切だよ”というもの。内容は人工知能についてざっくりと、かつ気軽に学べる本であった。ビジネスサイドと学者サイドとの対話形式で話が進んでいくのでわかりやすい。また、対話の中で出てくる用語について丁寧に全て解説も載っているので易しい。

MATSUO:本当はロボットを大量に投入して、そこでロボットの社会を作らせるのがいいと思います。ロボットに社会生活を何世代も営ませると、他人と協調した時は嬉しいとか、他のロボットの役に立つと嬉しいという報酬系を持つロボットが生き残っていく可能性は高いので、そのレベルで人間は共感できるようになるのかもしれない。

人間と共生するロボットを作る手段としてはとても合理的な考えだと思う。人間は社会性を持った生き物で、他者との関わりを保ちつつ生きていく必要性がある。ロボットも然り。ロボット1台だけでは生きていけない、そうなれば他者と共存する社会性を持った存在になる必要性が出てくる。

MATSUO:「飽きる」というのは、実はかなり重要なパラメーターです。ノベルティー・シーキング(新奇探求行動)が高いかどうかは、例えば、ロボットが最適な行動を考えるときの重要な要素にもなります。

飽きる、飽きるのか!そうだ、人間は飽きる生き物なんだ。ネットサービスの入れ替わりが激しい所以は飽きるというのが一つのパラメーターではないだろうか。どんなに良いアプリ、サービス、製品でもそこに変化がないと飽きるのだ。また、変化を求めるのだ。iPhoneは確かにほぼ完璧なプロダクトだが、完璧さ故に面白くないと思うのは自分だけではないだろう。カスタマイズできたり、たまに表示がおかしくなったりするAndroidOSのnexus5の方が良い。

 

6位

非常に短く、簡潔にまとめられているのでサクッと読めるが、とてもメッセージ性のある一冊。後世へ残せるものとは?金でもなく、事業でもなく、思想でもない。それらは後世の人々が善にも悪にも用いることができるため。最大の遺物とは誰にでも残すことができる”勇ましい高尚なる生涯である”と述べている。つまり、生き様であり、その人の在り方だと思う。一人一人に素晴らしき人生があり、物語があり、それは誰にも邪魔されることがなく、かけがえのないものだという内村鑑三のメッセージが伝わってくるように思える。

「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより、世の中を少しなりともよくして往こうではないか」

これは内村鑑三ではなく、天文学者のハーシェルが語ったことを本書に記した一節だ。この一節が本書の真髄である。

 

5位

よく「周りの5人の平均があなただ」「自分を変えるには、付き合う人、環境、時間配分を変えること」などと言われるが、まさにそのことを科学的に分析、解説しているのが本書であった。つまりは、何を周りからインプットするかということ。

子供が大人へとなるにつれ、好奇心や純粋さ、いわゆる子供心を失っていくのはこのように偏りのある環境や人の中で偏った思考を形成していくためであろう。その結果、柔軟な思考がなくなり、批判的になったり、好奇心が薄れていったりするものだと思う。

また、人工知能を学んでいると同時に人間のことを学ぶような感じなのだが、人工知能も何をインプットさせるかでそのアウトプットの結果は変わってくる。上記で述べたように人間も同じだ。これまでの人生の中で何を見て、聞いて、経験して、何を知り、どういう人と付き合うかなどのインプットでアウトプットは決まってくる。だからこそ、自分のインプットする情報には注意することが必要だ。最初のうちは無作為にインプットしまくることで、量が質に転化する場合もあるが、ある一定状態を超えると良くない。

他には、自分が思っている以上に他者の影響を強く受けているということ。SNSで美味しそうな料理の写真がアップされていて、自分も食べたくなりお店に足を運んだという経験は誰しもあるだろう。同じようなことが日常茶飯事に起きているのだと思う。必要のない情報は意識的に遮断すること、同時にランダム性、意外性から思わぬ結果に繋がる結果にもなるので流れに身を任せることも重要なのかなと思ったり。人は普段見ているものから行動を決めるということであれば、いかに人々に認知させるのが重要かということも理解できた。商品だけではなく、人と人との信頼関係においても単純接触効果があるように、頻繁に会うことで好意に繋がるというのも理にかなっている。

サイエンス誌に掲載された論文における重要な結論は、「集団は集団的知性を持つ」というものである。そしてその集団的知性は、ここの構成員が持つ知性とはほとんど関係ない。個人の能力よりも優れた、集団で問題を解決するという能力は、個人の間のつながりから生まれる。

人がどのような意思決定を下すかは、個人的情報と社会的情報がミックスされた結果であり、個人的情報が不足している場合には、人はより社会的情報に依存しようとする。

 

4位

こちらは日系アメリカ人で理論物理学者であるミチオ・カク氏が2100年の世界、そこに至るまでにどういうことが起きるであろうかをまとめた本。特にこの本のすごいと思うところは物理学の第一線で活躍されているミチオ・カク氏が自らの足で世界各国にいる最前線で活躍しているトップクラスの科学者300人以上へインタビューをしてまとめたものであるということ。読み終えた感想を一言で述べると、”世界は思っているよりも進んでいる”ことを実感した。

2100年の世界を予測できる根拠として以下を挙げていた。

・本書で触れる科学的発展の内容はどれも、これまで知られている物理法則と矛盾しない。

・自然界の四つの力と基本法則はおおかた明らかにされており、この法則に何か大きな変化は新たに見込めない。

・本書で触れたすべてのテクノロジーのプロトタイプはすでに存在する。

・本書は、最先端の研究と言えるテクノロジーをじかに目にしている。「インサイダー」によって著されている。

物理法則に矛盾しておらず、かつ現実にテクノロジーとして存在しているという点はとても説得力のある根拠だ。かといって、もちろんその通りになるわけはないが一つの指針として重要だと感じる。

未来についての予言は、わずかな例外を除けば、つねにテクノロジーの進歩を過小評価している。何度も言われるように、歴史を残すのは楽観論者であって、悲観論者ではない。

感情の主な目的のひとつは、われわれに価値観を与え、何が重要で、何が効果で、何がかわいくて、何が貴重なのかを決められるようにすることだ。感情がなければ、すべてが同じ価値になり、無数の決断がどれも同じ重みで身動きがとれなくなってしまう。したがって、科学者は現在、感情が贅沢な存在であるどころか、知能に欠かせないものである事実を理解しだしている。

人工知能、ロボット、脳科学などにも精通しており、意識を単なる意識ではなく、意識レベルを段階的に分類して解説するなどどの解説も分かりやすい。情報量が多いのでまた別途、記事としてまとめたい。

 

3位

相対性理論に行き着くまでの経緯やその後の物理学の流れ、アインシュタインの半生、アインシュタインが周りの影響をいかに受けていたかなどとても面白かった。

ベルリンのアインシュタインの書斎には、敬愛するニュートン、ファラデー、マクスウェルの肖像が飾られていたという。ファラデーはまた、磁気や電気を理解するために「場」の概念をもちこみ、電気力線や磁力線を用いて電磁気現象を説明した。…電磁及び磁場という概念は、その後の物理学を大きく進展させた。…マクスウェルはこれらの法則を方程式のセットに結合させて、電気と磁気のふるまいを数学的に記述することに成功した。

かの天才アインシュタインも大きな歴史の中で、歴代の偉人たちの知恵を借りて世紀の発見をしたということが垣間見れた。

少年時代の一時期、ユダヤ教の信仰世界にのめりこんだこともあったけれど、12歳のときとつぜん真理に目覚めたという。「通俗科学書を読んでいくうちに、やがて聖書の話の多くが真実ではありえないと確信したため」で、その結果「まったくの熱狂的な無神論者となってしまった」
※「」内はアインシュタインの自伝より本書籍が抜粋したもの

宇宙や惑星などの大きなもの(マクロの時空)を記述したものが「一般相対性理論」で、原子や分子などの小さいもの(ミクロの世界)を記述したものが「量子力学」であるが、両者は相容れない。そこに登場したのが「超ひも理論」という最小のものはひもであり、そのひもが振動することでより大きな原子などの粒子を作っているというもの。物理学は日々、進展している。

また、アニメ世界の2次元の中にいるマリオが3次元世界の我々を理解できないように、創り出された人類がこの宇宙を真に理解すること、ましてや一つの方程式で記述することなどできないと考えているが、物理学者の夢は違う。アインシュタインを始め、多くの科学者は一つの式で記述することを夢見て日々、研究にあたっていた(今も研究を続けている)。その姿に畏敬の念を抱くとともに、電気や磁気などたくさんの研究の成果によって、今の我々の世界が成り立っているのだと改めて実感した一冊であった。

 

2位

ここでももう一人の偉大な人。

かの有名な起業家であるイーロン・マスクも自社のネーミングとロゴにするなど、後世にその影響力を残したニコラ・テスラ。ロボット、コンピュータ、ミサイルの基本法則を考え出し、それにより人工衛星やマイクロ波、核融合などへ道が切り開かれたのだ。だが、当時はマッドサイエンティストとして恐れられ、また資金難にもあり最期は一人で死を迎えたという人生を送った人でもあるが、今の時代に生きていればまた違う結果になったのであろう。当時一緒の時代にいたのが、発明王として知られるエジソン。世間的にはエジソンこそ発明の天才ですごい人だという認識があるが、現実は真逆であった。ビジネスマンとしてエジソンは天才であったが、科学者としては圧倒的にテスラが素晴らしい功績を残している。歴史は常に勝者がつくると言われるが、勝った者がその名を歴史に残すことができる。そういったエジソンとの勝負も細かく書かれており、科学とビジネスの相容れない様を考えさせられたのであった。

実は、他のすべてのものと同様、地球も一定の振動状態にある。つまり、収縮と膨張を絶えず繰り返しているのだ

頭の中に現れる像はどれも以前どこかで見たことのある実際の光景がもとになっていたのだと初めてわかったとき、重要な示唆を得たと確信した。… 彼が今決めたばかりの、自由意志の結果であると思って行ったことは、実はどれもこれも現実の状況とでき事に起因していたのである。

この一節は上記で挙げた「ソーシャル物理学」の部分で述べたこととつながるから面白い。つまり、自由意志などそもそもないということを示唆している。他にも紹介したいことはたくさんありすぎるのでこの辺で終わりにしたい。

 

1位

メタップスの社長である佐藤さんが書いた本。

どれも体系的に述べられており、非常に示唆に富んだ内容であったとともに、その思考法が面白くとても勉強になった。これも長くなりそうなので、別途の機会で改めてまとめたい。

 

こうやって振り返りながら書いてみると新たな気づきや発見もあり、自分自身で勉強にもなった。2015年は原理や法則みたいな部分が中心の書籍が多かったので、2016年は現実に則した実践的な書籍を中心に読んでいきたい。

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