【目次】
●AIに関する前提知識
●市瀬准教授によるプレゼン
●質疑応答タイム
●まとめ
10月24日(土)大阪グランフロントで行われた「シンギュラリティサロン」に初参加してきた。とても面白く、是非とも次回も参加したい。今回は内容を議事録メインでまとめてみた。
【用語】
AGI:汎用人工知能
AI:人工知能
【人物】
市瀬准教授:国立情報学研究所准教授
塚本教授:神戸大学大学院教授/ウェアラブルを身につけている
松田卓也先生:神戸大学名誉教授
AIに関する前提知識
前提知識としてこちらがめちゃくちゃわかりやすかったのでご紹介。
【記事の内容】
●結論
Deep Learning は(真の)人工知能ではない。なんでもかんでも人工知能って呼ばない。
●機械学習とは
「人間がプログラミングするのが大変な部分を、機械が自動的に学習できるようにしよう」ということ
●ニューラルネットワークとは
「脳の機能をコンピュータ上に再現したらすごいことができるかも!」という発想で1943年ころ生まれました
●そもそも人工知能とは
弱いAIと強いAIがある。
●強いAIを作るには?
脳の解明が必要。また、主に二つのアプローチがある。
弱いAIからのトップダウンシナリオ(Siriなどのデータを大量に読み込んで、バージョンアップさせていく方法),強いAIからのボトムアップシナリオ(脳のアルゴリズムから進化させていく方法)
つまり、ニューラルネットワークの進化したものがディープラーニングである。だが、それはデータから学習したただのアルゴリズムでしかなく、脳とは全く別物。そこには感情も心も意識もない。当初の目的であったニューラルネットワーク(脳の模倣)を作ろうと思えば、まずは脳の解明から始めないといけないということ。
市瀬准教授によるプレゼン
【結論:まとめ】
①AGIとは汎用人工知能のこと
②AGIを作るためにはどうする?
ー認知アーキテクチャを動作させる要素
③『知識』に焦点を充てる
ー知識グラフを使ってアプローチしよう
①AGIとは汎用人工知能のこと






質疑応答タイム
質疑応答はとても盛り上がり、おそらく30分以上もあったかな?
●「人間のように心の病を抱えて動かなくなったりするハニートラップは人工知能にはないのか?」
→「現状あるAIは強いAIではないので、そういうことはない。だが、ACT-Rというのは人間の動作を元に作ったもので人間と同じ速さで物を考え、処理するため、負荷を大きくかければ遅くなることはあるかもしれない。」
●「人工知能を作る際のデータベースとは?言語はなにで作る?言語によって情報量に差が生まれるのはどう解決するのか?」
→「やはり、世界で使われており、情報量の多い英語が有利。日本語だとハンデになるだろう。」
→「ならば日本語から英語に変換する必要があるのか?」
→「それはそう。だが、それも単純な話ではない。例えば、Wikipediaでアニメなどは日本語だととても詳しく掲載されているが、英語ではそうでもない。つまり、言語は文化に依存している。ただ日本語から英語に翻訳というのは違う。日本人は日本人の文化を守るための”知識グラフ”が必要だ。」
●「AGIの目的関数はどうやって定めるのか?」
→「目的を定めてしまうとそれがゴールになるため、定めない。なので、現状”汎用性”を目的にしている。」
●「AGIでの目標設定とは?なにをもってAGIと言えるのか?」
→「AGIというには、他人の家に行ってコーヒーを入れれるかをテストする”ウォズニアックテスト”によって判断する。だが、現状はコーヒーを淹れるだけすら難しい。」
訂正(ご指摘頂きました)
→「AGIの判断をするために、他人の家に行ってコーヒーを入れれるかをテストする”ウォズニアックテスト”というのが提案されている」
弱いAI=特化型AIでコーヒーを淹れるだけに特化した人工知能を作ればできるんじゃない?と横で松田先生がツッコミを入れていたのが面白かった。
●「AGIができた時に、教育に与える影響は?」
→「機械ができないことを人に教えるのが教育だと考えている。例えば、計算なども昔は算盤でやっていたがコンピューターの発展で算盤を使う必要はなくなった。だから、機械でできることは教える必要はなく、機械が出来ないことこそ教える必要があるのでは」
ちなみに私が質問したのは
●「ディープラーニングの先にAGIはないと思っている。となると脳や意識の解明が必要だと思うが、現状世界的にどれほど研究は進んでいるのでしょうか?」
→「まさに全脳シミュレーションのことでヨーロッパでは、ヒューマン・ブレイン・プロジェクト(HBP)という10年プロジェクトがあり、2020年頃 2020年代にシミュレーションしようとしている。」
「AGIでは心を作ろうとはしておらず、その領域には踏み込まない。」
心や意識をどう判断するか?というのが問題。結局のところ、チューリングテストでしか判断しようがなく、どちらかわからない。人が”意識がある”と思えばある。”心がある”と思えばあるというようなことを松田先生は仰っていた。
まとめ
特に印象に残ったのは「必要なのは君のような若い人材だ」という松田先生の言葉。
今回の会場を見ても20代はおそらく私一人。30代もいるかいないかで主に40、50代の方だったように思える。人数も募集人数100人に対して半数くらい?かな・・ここから推察できるのは「AI自体の認知が低い、関心が薄いこと」、「大阪という地域で認知が低い」、「若年層の関心は薄い」ということだろう。
たまたま今回だけなのかもしれないが、どちらにせよAIはこれからどの産業にも大きく関わってくるとても重要なトピックなので、もっと人々は関心を寄せるべきであろう。
また、松田先生はいま世間的がAIを勘違いしていることに対する懸念を抱いていた。つまり、ターミネーターみたいな世界になるかもしれないからAIダメ絶対というわけでなく、それはいまのAIの延長線上にないのだから心配する必要もないというようなことを仰っていた。私も思うに、イーロンマスクやホーキング博士が警鐘を鳴らしているのは、兵器としての利用に反対しているのであって、あくまでAI自体は活用したほうがいいし、そのためのリクルートやAIに携わる人材を増やすためだと考えている。
ちなみにこちら私も署名したのだが、軍事的な人工知能兵器の競争に反対する署名。兵器としては使うべきではないと思うが、人類の歴史は皮肉にも軍事産業によって発展してきている。発展を犠牲にしてでも、人工知能を軍事兵器に使ってほしくないものだ。、、もうどこかで使われているのかもしれないが。
最後に、スライドシェアにあがってたのでご紹介。
※一部情報が抜けている部分があります。また部分部分で誤った解釈をしていたり、意図を履き違えている場合はすぐに編集致しますので、ご一報頂ければと思います
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