IBMワトソンの世界征服

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目次

●WATSON(ワトソン)とは

●ビジネスでの活用

ー 金融

ー コールセンター

ー 医療・ヘルスケア 

ー 食 「シェフ・ワトソン」

ー ロボット・おもちゃ

WATSONとは

有名な人工知能(ではないが、わかりやすく人工知能と言っている)であるIBMワトソン。そもそも、ワトソンとはなんだろうか?

wikipediaの説明がわかりやすい。

ワトソン(英語: Watson)は、IBMが開発した質問応答システム・意思決定支援システムである。『人工知能』と紹介されることもあるが、IBMはワトソンを、自然言語を理解・学習し人間の意思決定を支援する『コグニティブ・コンピューティング・システム(Cognitive Computing System)』と定義している。 wikipedia

面白いことに、IBM自体はワトソンを人工知能とは定義していない。人工知能とは何か?、何を持って人工知能と呼べるか?にもよるが、簡単にいえばワトソンは人工知能ではない。なぜならば、ワトソン自体は質問の意味を理解しているのではなく、質問に含まれるキーワードと関連しそうな答えを導き出し、答えているだけだからだ。

松尾氏の著書『人工知能は人間を超えるか』によれば、

「クエスチョン・アンサリング(質問応答)という研究分野の成果である。ウィキペディアの記述をもとにライトウェイト・オントロジーを生成して、それを解答に使っている」

とのこと。ちなみに、ライトウェイト・オントロジーとはコンピューターに大量のデータを読み込ませて、自動で概念間の関係性を見つけさせようというもの。完全に正しいものでなくても使えるものがあればよいという思想とのことだ。

人工知能の定義とはなんだろうか?

アランチューリングの考案したチューリング・テストによって合格したものを一応、”人工知能”と呼ぶらしいが、テスト自体に問題もあるようで正確とは言えないであろう。とりわけ、その定義は人によって異なるが、ここでの定義は松尾氏の言う「人工的につくられた人間のような知能」としたい。私自身も、人が知能があると思えばそれは人工知能と呼べるだろう、という考えである。このワトソン自体も一部では知能があるように思えるが、もちろん人間のような知能を持っているとは誰も思わないだろう。

さて、IBMのディープブルーがチェスの世界チャンピオンに勝利したのは1997年。ワトソンがクイズ番組「ジョパディ!」にて歴代チャンピオンに勝利したのが2011年のことは有名なことである。

ビジネスでの活用

 金融

DBSは資産運用部門の富裕層顧客への助言においてファイナンシャルプランナー(FP)を支援するため、ワトソンを利用する。ワトソンは大量の金融データを分析し、DBSがよりカスタマイズされたサービスを提供できるよう後押しする。 【海外アラカルト】人工知能「ワトソン」が金融界にデビュー – Bloomberg

 コールセンター

コールセンターでは、既にみずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行という日本のトップ3のメガバンクが、コールセンターにワトソンを導入した。また、年間70万件の問い合わせを受ける三井住友海上火災保険株式会社もテキストマイニングや分析を行うIBM Watson Explorerを導入。問合せについて傾向や一定のパターン、相関関係などを見つけるため、電話やWebでの問合わせ内容をテキスト解析技術を使って分析し、様々な場合にどのような問い合わせが増えるのかという傾向が見えるようになったとのこと。

ワトソンの活用領域について、銀行では自然言語の応答機能を活用して、コールセンターでの顧客応対や顧客へのアドバイスなどの業務にワトソンを使用する予定である。この業務に合う知識を教育するため、専門のオペレーター数名による顧客応対パターンの入力や過去の応対ログの読み込みなどを行い、質問の正解率が80%に達するまで数ヶ月間かけてトレーニングする。このシステムは、最初は正解率が低いが、何度も使い込んで適切な答えを覚えて行くうちに、この質問ならこの答えという推論の精度が上がり、正解率が増していく仕組みになっている。みずほ情報総研:銀行業界で活用が始まったIBMワトソン

www.mugendai-web.jp

www.mizuho-ir.co.jp

 医療・ヘルスケア

IBMの目的は、Watsonを使って同社のデータを患者の医療記録と合わせて解析すること

WatsonMRIX線写真やCATスキャンとの違いを認識し、撮影した物体が脳なのか心臓なのかも識別できる」とIBMの研究開発部門を率いるJohn Kelly上級副社長は話す 日本郵政 IBMの人工知能「ワトソン」を高齢者サービスに活用 – エキサイトニュース(1/2)

 食  「シェフ・ワトソン」

料理アプリである「シェフ・ワトソン」。材料を入力すれば、レシピを提案してくれるというものだ。料理という創造性を用いる領域にまで進出しているのは面白い。現在はレシピ提案までに留まっているが、身体を持った時には料理まで作ってくれるだろう。人工知能はロボットにとっての脳。人間が行っていたレシピを”考える”という思考を代替えしているに過ぎない。身体性を持った時にはレシピを”考え”、”作る”こともできる。このレベルに到達するにはまだまだ時間がかかるだろう。

wired.jp

toyokeizai.net

 ロボット・おもちゃ

IBMは昨年2014年に人工知能企業であるCognea(コグニア)を買収。コグニアは対話型人工知能プラットフォームを持っており、ユーザーにパーソナライズすることを特徴としていた。Siriは電話帳の情報など一部のパーソナル情報を提供してくれるが、パーソナリティな応答はできない。このコグニアの技術を用いたかどうかはわからないが、IBM社がスポンサーで開催された「ワトソン・モバイルアプリ開発コンテスト」の優勝チームが、ワトソンへのアクセス権を得ることで開発した製品がこちらのCogniToysというスマート・トイである。

これは、今後どのように人工知能が社会に入っていくかの好例であろう。デバイスという観点でみれば日本ではpepperが、世界ではスマホである。子供達はスマホというデバイスを経ることなく、おもちゃからネットワークの世界に触れる。これは非常に興味深いことだ。

CogniToys は、自然言語を読み取る理解力があるため、子供が恐竜のお腹のボタンを押しながら話しかけると、質問に対して関連性がある情報を提供(子供の年齢に合わせて的確な回答)してくれたりします。そのため、何千個という質問を聞いて、答えてもらったり、お互いに冗談を言ったり、物語(ストーリー)を話してくれたりもできます。インターネットに接続されたデータベースと通信することで、玩具は常にプレイ体験を向上することが可能です。また、使用している子供の好きな色から関心などに沿って玩具がカスタマイズされ、また子供が学習レベルを上げた場合には、算数、スペリング(綴り)、ライミング(押韻)など、内容もどんどん難しくなっていきます。

 

簡単にワトソンが世界征服を目指して進出している分野を紹介した。これだけでも、非常に多くの人がワトソンと接していることがわかる。

さらに人々の間に人工知能を浸透させるために、ワトソンをはじめ人工知能の持つ課題は”身体性”であると感じる。どのような身体(ロボット)を持ち、現実社会で振舞うのか。スマートトイやベイマックスのように身体性を持った形から社会に溶け込むのか。なんにせよ、スマホをはじめとするデバイスの普及は世界に広がっている。ご存知の通り、スマホには既に弱いAIは搭載されている。そして、IoTにより家電・車などあらゆるモノがネットに接続される。日常で我々はより人工知能に触れることになる。

そう、これからもワトソンの世界征服は静かにゆっくりと進んでいくのだ。

▽参考記事

子供の成長と共に賢くなる!IBM製の人工知能『ワトソン』を搭載した恐竜のおもちゃ|APPREVIEW

IBMワトソンが人工知能スタートアップ「コグニア」を買収 – Translation Office Komada

日本郵政 IBMの人工知能「ワトソン」を高齢者サービスに活用 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

ついに人工知能が銀行員に「内定」 IBMワトソン君 :日本経済新聞

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