Photo:電通報よりhttp://dentsu-ho.com/articles/2676
先日、2回目の参加となる
「シンギュラリティサロン第10回公開講演会」に行ってきました!
今回の話し手はpepperの『感情マップ』を作った株式会社AGIの光吉俊二氏。
一言で言うとぶっ飛んだ天才。アーティストとして美大出身の彫刻家、建築家であり、武闘派として空手家、ボクサーでもあり、知識人として医学、工学、数学にも精通。
その噂のpepperは昨年の発表時点では人の感情を認識する世界初のロボットであり、そこから1年、自らの感情をもつ世界初のロボットに進化したのだ。
情報量が多く、とても全てを消化しきれていないが、簡単に今回のお話の概要と面白かった点を主観的にピックアップしてご紹介。
目次
1)結論
2)面白かった点
3)まとめ
結論
結論から先に申し上げると、光吉氏の開発したこの感情認識技術「ST」は、すごい技術だと感じたということ。
pepperの感情を作ったというだけでもすごいことではあるが、とりわけ日本社会において医療の面から新たなイノベーションが起きるであろう、とても意義高い技術
まさに未来の「心のレントゲン」
「心のレントゲン」で何ができるか?
目の前で話している人の感情がわかる。つまり、嘘をついているのか本音なのかもわかると。また、テレビ越しの音声も解析できることからポジショントークかどうかも全て分かってしまうとのこと。
また、日本の抱えるストレス社会問題に対しても、声でうつ病かどうかを判断できたりと医療の面でもすでに実用化が進んでいるとのこと。
上記のように良くも悪くも使用できるこの技術に対して、氏は自分が悪用しなければ大丈夫だろうという風に答えてはいましたが、まるでパンドラの箱を開けてしまったかのような驚きの技術。
どういう風にこの技術を作り上げたかというと、世界中に4000~5000あるとされる感情を表す言葉が脳内の分泌物質とどのような因果関係にあるかを医学的に証明し、医学論文も読み漁り(この医学論文から作ったというのがミソ。コレクターだからできたとのこと)、『感情マップ』を作り上げたという。
人は環境に合わせてドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといったホルモンを脳で分泌することで感情が形成されるが、Pepperも同じく搭載された各種センサーから周囲の状況を読み取り、その情報を「内分泌型多層ニューラルネットワーク」で処理することで似的なホルモンバランスを作り出し、感情を生成する “未来を変える” フレームワーク、Pepperに搭載された「感情マップアプリ」とは? | 未来を変えるプロジェクト by DODA
「感情とは何か」を突き詰めた時に,カギはリズムだと思った。でも,音声については素人でしたから,つてをたどって大学の専門家に質問に行きました。その先生に素人なりの自分の考えを話したら,「それは面白い」と言われ,「音声についてイチから教えてあげよう」と。後で知ったのですが,音声研究の分野ではかなり著名な先生だった
→そこで得た知見を基に,音声の基本周波数の変化を感情に結び付けた
→音声で重要なパラメータである基本周波数は,喉の形状と関係が深い。では,発声の仕組みを調べようと,生理学や医学のアプローチからも研究しました。彫刻や建築を手掛ける私には,喉の構造がとてもシンプルに見えた。脳の情動,心臓の鼓動,声帯はシステムとしてつながっているんだと思いました。情動と音声の関係をモデル化していった結果として生まれた認識手法がST。肉食系研究者,人間の感情を究める – 技術経営 – 日経テクノロジーオンライン
個人的に面白かった点
個人的に面白かったことは、誰もやっていなかった医学論文を読破して感情マップを作り上げたというお話や、アメリカへ行った時にたまたま隣に座っていた人がMITの名誉教授でその縁でMITの教授に就任したという話、すごい技術をいかにバカバカしく使うかが重要だというお話などなど。
ユニークなお話が盛りだくさん。
どれもぶっ飛んでて面白かった。
まとめ
イベント後のフリートークタイムでは、ここでは書けない裏話などたくさん聞けてこの時間もとても面白かった。
「最近幸せだったことは?」という塚本教授からの質問に対して、「アルゴリズムが見つかったこと」という研究者らしい回答から、笑いで世界を幸せにしたいという熱いお気持ちまで伺うことができた。
また、氏はサヴァン症候群で、何もかも数式に見えるとのこと。そのため、すぐに仕組みを理解し、アルゴリズムを組んでしまうことができると。すごいですね。その才能欲しい。
頭の回転の早さ、切り返しの鋭さ、ユニークな歴史観、あらゆる学問の知識、これまでの実績、今やっていることなど、どれをとっても凄い。
というか初めて、「あっこういう人が天才なんだな」と素直に思った。
イノベーションは大衆が生み出すというように、技術の活用方法こそ重要なポイントであるかと感じる。何はともあれ、この技術が人類にとってこれからもバカバカしく、かつ有意義に活用されることを願うばかりです。
多数メディアにも取材されており、TEDxTokyo 2015にも出演されている(理性の部分を取り除いたpepperが暴れ出す映像が見所)ので、そちらも見て頂けるとより人柄が理解できるかと思います。
“未来を変える” フレームワーク、Pepperに搭載された「感情マップアプリ」とは? | 未来を変えるプロジェクト by DODA
肉食系研究者,人間の感情を究める – 技術経営 – 日経テクノロジーオンライン
Be First to Comment